二度死んで二度蘇った無料FPS『スペシャルフォース2』——その9年間の全記録

目次

サービス終了日と理由

スペシャルフォース2(Special Force 2)は、日本国内で二度サービスが終了している。

1回目は2018年10月。運営はNHN PlayArt(旧ハンゲーム)。2回目は2022年10月。運営はHappyTuk。どちらもPC向け基本無料FPSとして提供されていた。

終了理由は公式には「諸般の事情」とされたが、実態としてはチーターの横行、プレイヤー人口の減少、そしてVALORANTやApex Legendsといった新世代FPSの台頭が重なった結果だった。

「日本の無料FPS」を作ったシリーズの続編

スペシャルフォース2を語るには、まず前作の話をしないといけない。

初代スペシャルフォース(SF1)は、日本のオンラインFPSの歴史を語る上で外せないタイトルだ。2006年にハンゲームでサービスを開始し、登録者数300万人を突破。「基本無料で遊べるFPS」というジャンルを日本に根付かせた先駆者的存在だった。

当時のPC向けFPSはCounter-StrikeやBattlefield 2のような買い切りが主流。無料で遊べるFPSはほとんどなかった。SF1はそこに風穴を開けて、「FPSに興味はあるけど、お金を出すのは……」という層を一気に取り込んだ。

スペシャルフォース2は、その正統続編として2012年7月に日本でサービスを開始した。開発は韓国のDragonfly。エンジンはUnreal Engine 3に刷新され、グラフィックは前作から大幅にアップグレードされている。

SF2は何が面白かったのか

スペシャルフォース2のゲーム画面

SF2のPvP(対人戦)だけを見ると、正直「よくある韓国製F2P FPS」ではあった。TDM、爆破、個人戦といった定番モード。武器は課金で購入。カジュアル寄りのゲーム性。

じゃあなぜ人がいたのか。理由は3つある。

まず、前作からの地続き感。SF1で遊んでいたプレイヤーが「次はこれだな」と自然に流れてきた。ハンゲーム経由でアカウントも共通だったから、移行のハードルが低かった。

次に、無課金でも遊べる設計。これは地味に大きかった。

無課金でも永久武器が取得可能だったのが良かった。時間さえかければ課金勢と同じ武器が手に入る

こういう声が複数あった。基本無料FPSで「課金しないと話にならない」ゲームが多かった時代に、SF2はその点で良心的だったと言える。

そして、PvEモードの存在。これがSF2を語る上で一番重要かもしれない。

エイリアンモード——FPSなのにCo-opが熱かった

スペシャルフォース2の戦闘シーン

SF2には「エイリアンモード」と呼ばれるPvE(対CPU戦)モードがあった。プレイヤー数人でチームを組み、ウェーブ形式で押し寄せるエイリアンを撃退していく。

これがなかなかよくできていた。

対人戦が苦手な人、FPS初心者、友達とワイワイ遊びたい人。そういう層にとって、エイリアンモードは「FPSの入口」だった。PvPだと上手い人に一方的にやられて萎えるけど、PvEなら仲間と協力して倒す達成感がある。

実際、「対人はやらないけどエイリアンだけ遊んでる」という人が珍しくなかった。Left 4 DeadやKilling Floorのような専用Co-opシューターとは違う、「おまけモードなのに本編より面白い」という独特の立ち位置だった。

ゲームモードの総数は10種類以上。TDM、爆破、サバイバル、エスコート、感染など、ゲームモードの充実度だけならかなりのものだった。問題は、それだけモードがあるとプレイヤーが分散してマッチングが成立しなくなることだが——それは後述する。

プレイヤーが語るSF2の記憶

ネット上に残っているユーザーの声を見ると、SF2に対する感情は意外なほど温かい。

スペシャルフォースという一つの時代の終わりを感じる

サービス終了時にこうした声が多く上がったのは、単にゲームが終わることへの惜しさだけではない。「自分がオンラインゲームにハマった原点がここだった」という、もっと個人的な感傷が混じっている。

運営の対応が優秀だった。ほかのゲームと比べてコミュニティの民度も良かった

運営に対する評価が高いのはF2P FPSとしては珍しい。韓国製オンラインFPSの運営といえば「課金圧がエグい」「チーター放置」が定番だが、SF2(特にハンゲーム時代)は比較的評判がよかった。

印象的だったのは、3世代にわたってSF2をプレイしていた家族の話だ。親がSF1から遊んでいて、子供がSF2を始めて、さらにその下の世代も。無料で始められてPvEモードもあるから、年齢を問わず遊べる。そういうゲームだったからこそ起きた現象だろう。

二度の死と復活——そして本当の終わり

SF2の日本サービスは、ちょっと変わった歴史をたどっている。

【第1期:2012年7月〜2018年10月】

NHN PlayArt(ハンゲーム)が運営。約6年間続いたが、2015年あたりから過疎化が進み、2018年10月にサービス終了。

【約1年の空白期間】

ここでSF2は一度「死んだ」。普通ならここで終わりだ。日本でサービス終了したオンラインゲームが復活するケースはほとんどない。

【第2期:2019年10月〜2022年10月】

ところが、HappyTukという別の運営会社がSF2の日本サービスを引き継ぎ、2019年10月に再始動。一度終わったゲームが復活するのは異例中の異例だった。

しかし第2期は約3年で幕を閉じる。2022年10月にふたたびサービス終了。根本的な問題——人口の少なさ、チーター、市場環境の激変——は解決されないままだった。

なぜSF2は終わったのか

直接的な原因は「人がいなくなった」ことに尽きる。なぜ人がいなくなったのか。

チーターの問題

SF2もチーターに悩まされた。エイムボット、ウォールハック。無料ゲームはアカウントを作り直すコストがゼロだから、BANしても即復帰される。イタチごっこから抜け出せなかった。

過疎化が進んで対人ゲームとして成立しなくなった

チーターがいる→まともなプレイヤーが離れる→過疎化が進む→マッチングが成立しない→さらに人が離れる。この負のスパイラルは、SF2に限らず多くのF2P FPSが経験してきた道だ。

競合タイトルの台頭

2020年にVALORANTが登場し、無料FPSの基準が一気に引き上げられた。Apex LegendsやFortniteも健在。FPS市場はレッドオーシャン化していて、2012年生まれのSF2が生き残る余地はほとんど残されていなかった。

Unreal Engine 3の限界

技術面でも厳しかった。UE3ベースのグラフィックは2020年代の基準で明らかに見劣りしていた。

なお、欧州では「S.K.I.L.L. – Special Force 2」として2013年9月〜2019年8月までサービス提供。Steam同時接続ピークは3,918人。大きな数字ではないが、欧州FPS市場の厳しさを考えれば健闘した方だ。

後継タイトル「Special Force Remastered」が始動

SF2の物語はここで終わりではない。

開発元のDragonflyは、スペシャルフォースシリーズの新作「Special Force Remastered」を開発。2026年3月に韓国で正式サービスを開始している。

名前の通りリマスター版であり、初代スペシャルフォースのゲーム性を現代のグラフィックと技術基盤で作り直したタイトルだ。SF2の直接的な続編というよりは、シリーズの原点回帰を図った作品と言える。

日本でのサービス展開は2026年3月時点では未定。SF1・SF2で築いた知名度を考えると可能性はあるが、日本の運営会社がどこになるか、この市場環境で参入するメリットがあるのかという現実的な問題はある。スペシャルフォースシリーズに思い入れがある人は、まず韓国版の動向を見守るのがいいだろう。

SF2が好きだった人へ——今遊べるFPS

SF2のサービスは終了してしまったが、FPSというジャンル自体は2026年現在も活況だ。SF2で遊んでいた人の好みに合いそうなタイトルをいくつか紹介する。

カジュアルに撃ち合いを楽しみたいなら

Apex Legendsは基本無料のバトロワ系FPS。SF2のTDMとは毛色が違うが、「無料で気軽に始められるFPS」という共通点がある。チーム制でキャラ固有スキルもあり、チームワークの楽しさは健在。

リアル系のFPSに興味があるなら

Insurgency: Sandstormはリアル寄りのFPS。SF2よりハードコアだが、PvEモード(Co-op)が充実している。SF2のエイリアンモードが好きだった人には特におすすめ。

スペシャルフォース2の基本情報

タイトル スペシャルフォース2(Special Force 2)
ジャンル FPS(基本無料・アイテム課金)
開発 Dragonfly(韓国)
エンジン Unreal Engine 3
日本運営(第1期) NHN PlayArt(2012年7月〜2018年10月)
日本運営(第2期) HappyTuk(2019年10月〜2022年10月)
欧州版 S.K.I.L.L. – Special Force 2(2013年9月〜2019年8月)
後継タイトル Special Force Remastered(2026年3月〜韓国正式サービス)
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