シリーズ15年ぶりの新作だったのに――『大航海時代V』が7年で沈んだ理由

⚓ SERVICE TERMINATED

『大航海時代V Around the World』は
2021年3月31日にサービスを終了しました

運営期間:2014年3月26日 ~ 2021年3月31日(約7年間)
開発・運営:コーエーテクモゲームス

目次

シリーズ15年ぶりの新作だったのに――『大航海時代V』が7年で沈んだ理由

大航海時代V ゲーム画面

大航海時代シリーズといえば、1990年に初代が発売されて以来、歴史シミュレーションの中でも「海」をテーマにした唯一無二のブランドだった。探検、交易、海戦。ロマンの塊みたいなこのシリーズに、15年の沈黙を破ってナンバリング新作が投入された。それが2014年にサービスを開始した『大航海時代V Around the World』だ。

しかし結果として、本作は2021年3月31日にサービスを終了。約7年間の航海に幕を下ろした。しかも同日には、後発の『大航海時代VI』もわずか1年半でサービスを終了するという、シリーズファンにとってはダブルパンチのような結末を迎えている。

この記事では、大航海時代Vがどんなゲームだったのか、何がよくて何が足りなかったのか、そしてなぜ沈んでいったのかを振り返ってみたい。

大航海時代Vの基本情報

大航海時代V 航海シーン

正式名称 大航海時代V Around the World
ジャンル 海洋アドベンチャー(ブラウザ/スマホ)
開発・運営 コーエーテクモゲームス
対応プラットフォーム PC(ブラウザ)/ Android / iOS
サービス開始 2014年3月26日(PC版)
2014年7月1日(Android版)
2014年8月4日(iOS版)
サービス終了 2021年3月31日 14:00
運営期間 約7年間
料金モデル 基本プレイ無料+アイテム課金(F2P)

大航海時代Vは、シリーズのナンバリング第5作。前作『大航海時代IV』(1999年)から実に15年ぶりの新作だった。プラットフォームはPCブラウザとスマートフォン。インストール不要で手軽に遊べるブラウザゲームとしてリリースされ、16世紀の大航海時代を舞台にした冒険を楽しめるタイトルだった。

ゲームの特徴 ―― 交易・海戦・探索の伝統と新要素

シリーズ伝統の3本柱を継承

大航海時代V 交易・海戦・探索

大航海時代シリーズといえば「探検」「交易」「海戦」の3要素。これはVでもしっかり継承されていた。プレイヤーは航海士として世界の海を渡り、未知の土地を発見し、各港で特産品を売買し、時には海賊や敵国の艦隊と戦う。この基本サイクルは大航海時代シリーズのDNAそのもので、シリーズファンには安心感があった。

ただし、従来のシリーズがコンシューマー向けの買い切りタイトルだったのに対し、Vは基本無料のブラウザゲーム。行動力を消費してクエストを進行するスタミナ制が採用されていたのが大きな違いだ。このスタミナ制は後述するように、賛否の分かれるポイントになった。

「マルチポルトラーノ」という革新的システム

大航海時代V マルチポルトラーノシステム

大航海時代V最大のオリジナル要素が「マルチポルトラーノ」システムだ。これは海図を入れ替えることで世界の地形そのものが変わるという、かなり斬新な仕組みだった。

同じ海域でも、装備する海図を変えれば異なる島や港が出現する。現実世界では内陸にある都市にも船で乗り入れられたり、通常の海図には存在しないレアな交易ポイントが姿を現したりする。「同じ海なのに違う世界が広がる」という体験は、大航海時代Vならではのものだった。

ゲーム性としても、海図のコレクションがやり込み要素として機能し、新しい海図を手に入れるたびに冒険の幅が広がる設計になっていた。この仕組みはシリーズの他作品にはない独自性で、評価していたプレイヤーも多い。

航海士ガチャ&育成システム

大航海時代V 航海士

もうひとつの柱が航海士の収集と育成。多数の航海士をガチャ(プレミアムスカウト)で獲得し、それぞれの固有スキルやステータスを活かして艦隊を編成する。いわゆるソーシャルゲーム的なキャラクター収集要素がここに組み込まれていた。

航海士のイラストは、メインイラストレーターの岩本ゼロゴ氏が7年間一貫して担当。クオリティの高いキャラクターデザインはプレイヤーから高い評価を受けており、サービス終了時にはイラストレーター陣への感謝の声が多く寄せられた。

大航海時代Vの魅力 ―― なぜ7年間続いたのか

大航海時代V 冒険

シリーズブランドの求心力

大航海時代シリーズは1990年のPC版初代から始まり、30年以上の歴史を持つ老舗IPだ。特にIIやIVは名作として知られ、「海洋冒険シミュレーション」というジャンルで唯一無二のポジションを確立していた。

15年ぶりの新作ということもあって、サービス開始時のファンの期待値は非常に高かった。「あの大航海時代がまた遊べる」という感覚は、シリーズ経験者にとって強い動機づけになっていたと思う。

ブラウザ&スマホの手軽さ

インストール不要でブラウザからすぐプレイできる手軽さ。さらにスマホアプリ版もあり、PC/スマホ間のデータ連携も可能だった。通勤中にスマホで交易をして、帰宅後はPCのブラウザで海戦を楽しむ、というような遊び方ができた。この気軽さは、忙しい社会人プレイヤーにとってはありがたい設計だっただろう。

無課金でもストーリーは楽しめた

ログインボーナスやイベント・ミッション報酬でガチャ用通貨のジュエルが入手でき、メインストーリーについては無課金でも十分に楽しめる設計になっていた。「課金しないと先に進めない」タイプのゲームではなかったという点は、ライトユーザーにとってのハードルを下げていた。

課金のリアル ―― ジュエルとガチャの相場感

💰 課金通貨と主なガチャ価格

  • ジュエル:1個 = 約10円相当。最低購入は10個(100円)から
  • 10連ガチャ(プレミアムスカウト):300ジュエル = 3,000円相当
  • SR航海士の排出率:1回あたり15%、10連で23%
  • 目玉航海士を狙う場合:約2,000ジュエル = 約20,000円が目安
  • 複数のレア航海士を揃える場合数万円規模が必要になることも

課金通貨のジュエルは1個あたり10円相当。10連ガチャ1回が3,000円というのは、ソーシャルゲームとしては平均的な価格帯だった。SR航海士の排出率は10連で23%と、飛び抜けて渋いわけではないが、特定の目玉航海士をピンポイントで狙おうとすると2万円程度は覚悟が必要だった。

一方で、ストーリーを進めるだけなら無課金でも可能だったのは事実。ただし、高難度コンテンツへの挑戦やレア航海士のコンプリートを目指すなら課金は避けられず、このあたりの「天井感のなさ」に不満を感じるプレイヤーも少なからずいた。

ユーザーの評価 ―― 光と影のはっきりした7年間

高く評価されたポイント

  • ストーリーの完成度とシナリオの面白さ
  • 岩本ゼロゴ氏をはじめとするイラストレーターの仕事
  • マルチポルトラーノによる世界の広がり
  • 大航海時代シリーズならではのロマン ―― 探検・交易の楽しさ
  • ブラウザゲームとしての手軽さ、無課金でも遊べるバランス

4Gamerのユーザーレビューでは、長期プレイヤーからストーリーの完成度やキャラクターデザインに高い評価がつけられていた。約7年間プレイした40代男性は70点のスコアをつけている。

「サービス終了しました。2カ月以上前からサービス終了の告知はあったが、本当にサービス終了する必要はあったのか?」

―― 出典:4Gamer.net ユーザーレビュー

7年間遊び続けたプレイヤーからこういう言葉が出るのは、裏を返せばそれだけ愛されていたゲームだったということだろう。

批判が集中したポイント

  • 「大停泊時代」 ―― 行動力の制限が厳しく、すぐに何もできなくなるストレス
  • 海戦がジャンケン ―― 戦略性に欠ける単調な戦闘システム
  • 課金圧 ―― 高難度コンテンツは課金前提のバランス
  • 下方修正の連続 ―― 運営によるバランス調整への不信感
  • ナンバリングへの期待とのギャップ ―― 「シリーズ最新作」としては物足りない

「ブラウザゲームとしてなら合格だが、シリーズ最新作としては失格」

―― 出典:4Gamer.net ユーザーレビュー

この声が、大航海時代Vの立ち位置を端的に表していると思う。ブラウザゲームとしてのんびり遊ぶ分には十分楽しめる。でも「大航海時代」のナンバリングを背負うには、スケール感が足りなかった。

特に「大停泊時代」という皮肉な呼び名は、行動力システムへの不満の象徴だった。広大な海を自由に旅するはずの大航海時代で、スタミナ切れで港に停泊するしかない時間が長い。「大航海」ではなく「大停泊」だ、という声は痛烈だが的を射ていた。

また、海戦システムがジャンケンのような単純なものだったことへの批判も多い。従来のシリーズでは戦術的な海戦が魅力のひとつだったが、ブラウザゲームの制約上、そこまでの深さは実現できなかった。

プレイ動画で振り返る大航海時代V

こちらは大航海時代Vの初見プレイ動画。ブラウザゲームとしてのUIや、マルチポルトラーノシステムの実際の動作を確認できる。

なぜサービス終了したのか ―― 5つの要因

大航海時代V 世界地図

コーエーテクモは公式にはサービス終了の具体的な理由を公表していない。2021年1月29日に終了告知を出し、3月31日に幕を閉じた。ただし、いくつかの状況証拠から終了の背景を推測することはできる。

要因1:ブラウザゲーム市場そのものの縮小

2014年のサービス開始当時、ブラウザゲームはまだ一定の市場規模があった。しかし2018年頃からスマートフォンゲームへの完全移行が進み、ブラウザゲーム市場は急速に縮小していった。2020年前後には多くのブラウザゲームが終了ラッシュを迎えており、大航海時代Vもその流れの中にいた。

要因2:収益の低下と過疎化

終了前の時点で、イベントランキングに微課金でも200位以内に入れたという声があり、アクティブプレイヤーの減少がうかがえる。プレイヤー人口の減少は当然ながらガチャ収益の低下に直結する。7年目のブラウザゲームとして、新規ユーザーの流入も期待しにくい状況だっただろう。

要因3:大航海時代VIとの共倒れ

2019年9月にサービスを開始した『大航海時代VI』は、Vと同日の2021年3月31日にサービスを終了している。わずか約1年半での終了だ。VとVIの同日終了は、コーエーテクモが大航海時代のモバイル・ブラウザ展開を整理する判断をしたことを示唆している。

要因4:次世代作品への開発リソース集中

大航海時代V・VIの終了と前後して、いくつかの動きがあった。まず2021年5月には『大航海時代IV with パワーアップキット HD Version』がSteam/Nintendo Switchでリリース。さらに2023年3月にはシリーズ30周年記念作品『大航海時代 Origin』がリリースされている。旧作の運営を終了して新作に注力するというのは、ゲーム業界ではよくある判断だ。

要因5:7年間の運営による老朽化

7年間運営を続ければ、コンテンツの追加ペースは鈍化し、システムの刷新も難しくなる。既存プレイヤーは消化し尽くし、新規プレイヤーにとっては追いつくハードルが高い。ブラウザゲームというプラットフォームの技術的制約もあって、大幅なリニューアルは困難だっただろう。

最終日の風景 ―― プレイヤーとスタッフの別れ

⚓ 最終航海の記録 ―― 2021年3月31日

2021年3月31日14時、大航海時代Vは静かにサービスを終了した。最終日のプレイヤーたちは、最後のガチャを引いたり、URクエストを完了させたり、思い出の港を訪れて最後の航海を締めくくっていた。

公式アカウントは感謝の言葉を残した。

「長きにわたるご愛顧、誠にありがとうございました。」

―― 出典:大航海時代V 公式 @daikoukai_05

メインイラストレーターの岩本ゼロゴ氏もサービス終了に合わせてメッセージを投稿している。

「7年間、メインイラストレーターを務めさせていただきました。本当にありがとうございました!」

―― 出典:岩本ゼロゴ @iwamoto_05

サブイラストレーターのおおつきべるの氏は、自身のキャラクター「ベル提督」の最後の航海がアレクサンドリアで終わったことを報告し、こう綴った。

「提督の皆様、運営の皆様、7年もの長い間この世界に少しずつ関わらせていただき幸せでした。」

―― 出典:おおつきべるの @bell_o2

コミュニティの最後の声

mixiコミュニティでは「【悲報】サービス終了のお知らせ・・・」というトピックが立てられ、最終日までプレイヤーたちが残りのクエストや航海を楽しむ様子が記録されている。

プレイヤーたちが終了を惜しみ、最終日まで航海を続けた姿が記録されている。

―― 出典:mixi「大航海時代V」コミュニティ

また、はてなブログ「さよなら記録館」では、最終日の様子を時系列で詳細にレポートした記事が公開されている。プレイヤーたちが最後のガチャを引き、最後の港を選んで航海を終える様子は、ソーシャルゲームの終末を丁寧に記録した貴重な資料だ。

最終日の様子を時系列でレポート。最後のガチャ、URクエストの完了、最後の港選び――サービス終了の記録。

―― 出典:さよなら記録館「さよなら『大航海時代V』」

一方で、久しぶりにプレイしようとしたらすでにサービスが終了していた、というプレイヤーの声もあった。

久しぶりにプレイしようとしたら、サービスが終了していたことを知ったプレイヤーの嘆き。

―― 出典:雷電のゲームブログ(Ameblo)

ソーシャルゲームの宿命として、サービスが終了すればデータはすべて消える。7年間の航海の記録も、育てた航海士も、集めた海図も。その喪失感は、運営型ゲームの避けられない痛みだ。

大航海時代シリーズの「今」 ―― V終了後の展開

大航海時代IV with パワーアップキット HD Version(2021年5月)

プラットフォーム:Steam / Nintendo Switch

価格:通常版 4,180円(税込)/ 30周年記念版 14,080円(税込)

内容:シリーズ第4作のリマスター版。PORTO ESTADO、パワーアップキット版、ROTA NOVAの追加要素を収録

大航海時代V・VIの終了からわずか2ヶ月後の2021年5月、『大航海時代IV with パワーアップキット HD Version』がSteamとNintendo Switchでリリースされた。1999年のシリーズ第4作のリマスター版で、買い切りで遊べるタイトルだ。シリーズファンにとっては「これを待っていた」という声もあり、Vの終了とほぼ同時期のリリースは印象的だった。

大航海時代 Origin(2023年3月)

開発:LINE Games / コーエーテクモ

プラットフォーム:PC(Steam)/ Android / iOS

ジャンル:オープンワールドMMORPG

位置づけ:シリーズ30周年記念作品、大航海時代IIのリメイク的位置づけ

2023年3月には、シリーズ30周年記念作品として『大航海時代 Origin』がリリースされた。LINE Gamesとの共同開発で、オープンワールドMMORPGという形式。ただし、Steamでのレビューは「やや不評」からのスタートとなり、課金要素の強さや航海中の待ち時間の長さが批判されている。大航海時代ブランドの復権は、まだ道半ばというのが正直なところだ。

大航海時代オンライン ―― 20年選手の現役

一方で、2005年からサービスを続けている『大航海時代オンライン』は2025年現在もサービス継続中。MMORPG形式で20年以上続く老舗タイトルとして、根強いファンに支えられている。大航海時代Vとは別系統ではあるが、シリーズの灯を守り続けている存在だ。

筆者の所感 ―― ナンバリングの重さとブラウザゲームの限界

大航海時代Vに対して個人的に思うのは、「ブラウザゲームとしてはちゃんと作られていた。でもナンバリングの重さに耐えられなかった」ということだ。

マルチポルトラーノという独自システムは面白かったし、ストーリーやイラストの質は高かった。7年間サービスを続けたこと自体、ブラウザゲームとしては十分に長寿な部類に入る。運営チームやイラストレーター陣が丁寧に作品を支え続けたことは間違いない。

ただ、「大航海時代の新作」として期待していたファンにとっては、スタミナ制やガチャ中心の課金モデル、ジャンケン的な海戦は、思い描いていた「大航海」とは違っていた。15年間待ち続けたファンの期待に、ブラウザゲームというフォーマットでは応えきれなかったのだと思う。

それでも7年間、この海を愛してくれたプレイヤーがいた。最終日にアレクサンドリアを最後の港に選んだイラストレーターがいた。その事実は、このゲームが確かに誰かの居場所だったことを物語っている。大航海時代Vの航海は終わったけれど、その記憶は沈まない。

「大航海時代V」が好きだった人におすすめのゲーム

海洋冒険・交易シミュレーションが楽しめるタイトル

大航海時代 Origin

シリーズ30周年記念のオープンワールドMMORPG。PC(Steam)/Android/iOS対応。200以上の港を自由に冒険できる。課金要素は強めだが、大航海時代ブランドの最新作。

大航海時代オンライン

2005年から20年以上サービス継続中のMMORPG。大航海時代の世界を本格的に冒険したいなら、現時点ではこれが最も完成度の高い選択肢。

大航海時代IV with パワーアップキット HD Version

Steam/Switch対応の買い切りタイトル。シリーズ屈指の名作IVのリマスター版で、ガチャもスタミナ制もなし。純粋に大航海時代を楽しみたいならこれ。

セーリング エラ

大航海時代風の航海RPG(Steam)。自由度の高い海洋冒険を楽しめる。大航海時代シリーズが恋しくなったときの有力な代替タイトル。

この記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。
記載内容は筆者の調査と体験にもとづくものであり、公式見解とは異なる場合があります。

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